2022.03.08メールマガジン

【キャリアセンター長・インタビュー】東京理科大学 葛飾キャンパス 葛飾地区キャリア支援センター長 先進工学部 電子システム工学科 教授 相川直幸 氏

先端融合分野を研究する工学の拠点として、2013年4月に葛飾キャンパスが開設された。地域住民との共生を大切に、隣接する「葛飾にいじゅくみらい公園」と一体化した学園パーク型キャンパスとして、地域住民にも開放されている。現在は、先進工学部の全3学部、工学部4学科、理学部(第一部)1学科を専攻する学生が、充実した設備と環境のなかで学問を修めている。

今回は、東京理科大学葛飾キャンパス、葛飾地区キャリア支援センター長を務めている相川 直幸教授(先進工学部電子システム工学科)にお話を伺った。

◆既存の学問領域を超えた「イノベーションキャンパス」
私が所属する先進工学部(※1)は、1987年に設置された「基礎工学部」が前身となっています。既存の学問領域を超えた教育や研究を目指し、2021年度に「先進工学部」と名称を変更しました。「電子システム工学科」「マテリアル創成工学科」「生命システム工学科」という3学科で構成されていますが、2023年度には理学部(第一部)応用物理学科を「物理工学科」に改組転換し、「機能デザイン工学科」を加えた5学科体制となる予定です。

工学部(※2)は、今年4月に「工業化学科」の移転が完了し、「建築学科」「電気工学科」「情報工学科」「機械工学科」の5学科体制が整います(「建築学科夜間主社会人コース」を除く)。両学部とも、従来の工業分野にとらわれない連携・融合した横断的アプローチで教育と研究を進めています。

◆低学年向けキャリア教育に注力する理由
ダイバーシティやグローバル化が進み、世の中の複雑性は増しています。大学で修めている学問の意義を理解し、社会で活かすためには、低学年のうちから外の世界に目を向ける必要があるでしょう。高校では大学に入ることを目的に勉強して、大学に入ったら必要な単位を取得して卒業する。これでは、せっかく修めた学問を活かしきることができません。早いタイミングから、卒業後の自分について考える低学年向けキャリア教育の重要性は、今後さらに高まっていくはずです。

学際的(いくつかの異なる学問分野にまたがっているさま)な工学知識は、世の中のどんなところで活用されているのか。それを理解した上で、自分の専門をどこにおきたいのか。本格的な教育・研究に入る前に、社会的課題への関心を高め、視野を広げてほしいと願っています。しかし、学業優先という時間的制限もありますし、セキュリティー面の制約もあるため、企業や研究所内のリアルな業務に触れる機会は多くありません。だからこそ、キャリア教育の一環として、外の世界と触れる場を積極的に作っていきたいと考えています。

◆キャリア観を深化させるための交流
学生が希望する就職先やキャリア観は、少しずつ変化しています。私が所属する先進工学部でいえば、もの作りに関わる分野から、形のないデジタル分野への傾倒が目立ちます。ブランド力の高い企業で、効率的かつスマートな働き方を望む学生も少なくありません。

同時に、世の中をもっと良くしたい、楽しくしたいという純粋で真っ直ぐな想いを、多くの学生から感じます。彼らの価値観や想いを受けとめ、もう少し深いところで将来の方向性を考える機会が増えていけば、社会的イノベーションを起こすきっかけになるのではないでしょうか。

他学部・他学科の学生と交流することも、将来のキャリアを考えるのに良い刺激となります。異なる学問分野を知ることで、学際的なものの見方が得られますし、自分の専門領域の特徴も分かります。新型コロナの影響でキャンパス内でのリアルな交流は難しくなっていますが、学部学科の再編が整い教養科目や基礎工学分野を中心とした横断型教育が拡充すれば、有用な交流機会となるでしょう。

◆出入りが自由な大学の必要性
現在の大学教育は、ほとんどの学生が4月に入学することを想定したシステムになっています。工学分野では、順序立てて学ぶ必要のある科目が多いため、同じタイミングで入学して、連続したカリキュラムを一緒に履修する学習効率性は高いといえます。しかし、オンラインを活用したe-ラーニングなど、新しい学習スタイルはすでに広く定着しています。大学教育の有り様も変わっていくタイミングなのかも知れません。

出口である就職活動も、もっと自由であって良いと感じています。周囲の流れに合わせて一様に動き出すのはなく、学校推薦を受けるにしても自由応募で進めるにしても、自分で考えて行動していくことが重要です。社会人を一度経験してからドクターを目指している学生を見ていると、学ぶことへのモチベーションの高さを実感します。明確な目的と意思があって決断した再入学だからでしょう。人によって大学に求める学びも、キャリア形成の道筋も異なりますが、それぞれのニーズに応えられるよう、より自由で開かれた大学であることが大切だと考えます。

◆イノベーション人材の育成を目指して
教員に言われたことを言われたとおりにやっていれば、失敗することは少ないでしょう。しかし、それではイノベーションは起きません。正解に最短でたどり着くプロセスばかりを求めるのではなく、気になることがあれば関連分野も調べてみるなど、寄り道することも大切です。ですから、学士課程の4年間は、研究成果よりも研究プロセスを大事にしています。修士以降は、研究のオリジナリティが重要になるので、誰もやっていない研究にトライする姿勢が求められます。研究を通して得ていく思考やスキルは、新しい価値を生み出す人材としてのトレーニングとなっています。

社会にある様々な課題を見つけ、本キャンパスで学んだことを活かして、解決の糸口を見出していく。そんな専門的かつ汎用的なアプローチができる人材を輩出していきたいですね。そのために必要な体制や支援は徐々に整いつつありますが、まだ万全とは言えません。より高い目標を掲げ、新しいイノベーションを創出できる人材育成を目指してまいります。 〔就職情報研究所 所長 平野 恵子〕

※1
先進工学部ホームページ
https://dept.tus.ac.jp/ade/

※2
工学部ホームページ
https://www.rs.tus.ac.jp/foe/
───────────────────────────────────
【大学&キャンパスデータ】
東京理科大学
https://www.tus.ac.jp/

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・就職幹事一覧
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[学科]
先進工学部
電子システム工学科、マテリアル創成工学科、生命システム工学科、
物理工学科(2023年度から)、機能デザイン工学科(2023年度から)
工学部
建築学科、工業化学科(2022年度から)、電気工学科、情報工学科、
機械工学科、理学部(第一部)、応用物理学科(2022年度まで)

[大学院]
先進工学科研究科
電子システム工学専攻、マテリアル創成工学専攻、生命システム工学専攻
工学研究科
建築学専攻、工業化学専攻(2022年度から)、電気工学専攻、
情報工学専攻、機械工学専攻
理学研究科
応用物理学専攻

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