2020.11.10メールマガジン

22卒は何を考えているか

22卒採用が始まった。コロナ汚染の収束が見えない現在、企業は、採用計画どころか事業計画さえ見通しが立っていない。もちろん、これから就活を始める学生たちも大きな影響を受けている。

当社が9月中旬に行った22卒予定学生の就職アンケート調査(以下、本調査)によれば学生の9割が「就職環境の展望は厳しい」と回答していた。一部のマスコミでは、就職氷河期の再来か、と不安を掻き立てる報道もあるが、来年の就活を控えた学生たちが就職や就活についてどう考えているのか、今後、どのように行動するのか、本調査を手掛かりに検討してみよう。なお、本調査の回答者は、22年卒の大学生476人で、調査時期は、20年9月1日から9月15日だった。

▼オンライン採用活動は容認だが、コロナ収束したら逆転も
コロナの収束が見えない現在、今年の採用活動は、全面的にオンライン化するとみられるが、これから就活をする学生たちは、どう考えているのか。すでに学生たちは、5月以降、学内、学外を問わずオンラインによる就活講座やイベントに参加し、夏季インターンシップの体験もある。それだけに「採用全体がオンライン化することについて」の受け止め方は、多様だった。その調査結果は、以下の通り。

大歓迎 20.9%
やや歓迎 32.3%
どちらともいえない 29.4%
あまり歓迎しない 14.4%
否定的 3.0%

上記のようにオンライン採用への評価が、分散している。歓迎派が過半数だが否定的な学生が2割弱、「どちらともいえない」が3割もいた。この数字は、コロナ収束の見通しによっては変わりそうだ。とくに「やや歓迎」派は、コロナ抑制の兆しが見えれば、否定派になりかねないだろう。

▼オンライン採用はミスマッチにつながると思っている
オンライン採用のメリットは企業だけでなく学生にもあるが、双方に共通する懸念もある。ミスマッチである。モニター越しの職場見学や説明会、オンラインでの面接では、お互いが分かり合えないのではないかという懸念である。これは、「オンライン選考やWeb面接がミスマッチにつながると思うか」という質問に対する下記の回答状況を見ても明らかだ。

とても思う 28.5%
どちらともいえない 56.4%
思わない  15.0%

ここでも「どちらともいえない」が多かったが、就活準備の段階で学生たちは、オンライン採用の危うさを心配している。コロナ回避のためにやむを得ないオンライン採用だが、こんな懸念が学生にあることを企業は、留意してほしい。

▼就活前の情報源は、就職サイトと企業のホームページ
コロナ対策のため大学は、4月から授業などがオンラインで開講され、キャリアセンターも就職イベントや就職相談をオンライン化したが、コロナ汚染が長引いている現在、学生の就職情報収集活動は依然としてオンライン中心だ。

そうしたなかで、今年の学生たちが頼りにしている就活や企業研究の情報源は、就職サイト、企業HP、キャリアセンターの3つ。本調査によれば、就職サイトが93%の利用率で昨年より4.2ポイント増、企業のホームページは62.8%で2.1%減、これに対して就職課・キャリアセンターの利用率は24.7%で9.4%減、このほか先輩の意見を聞く、も減となった。コロナ汚染を警戒する学生たちの在宅型の就職情報の収集活動が目につく。

▼企業研究では、事業内容を気にする
今年の学生は、就活準備の時点からコロナ禍のなかにいた。それだけに学生たちが企業研究にあたり、確認したい情報は何かという質問に対する回答は興味深い。だが、結果は、例年同様で大きな変化はなく、社風、福利厚生、勤務地、平均年収といった項目が上位に来ていた。当面、経済の先行きや企業の将来が見えないもののコロナ禍が一過性と見ているからだろう。それでも企業の事業内容を気にする学生は昨年対比5.1%増えた。コロナの影響を受ける事業かどうか、が気になるようだ。

そのため多くの学生が、いわゆる業界本(「業界地図」という)を購入するようになった。この業界本は、東洋経済や日経新聞などが出版元で業界の勢力図、系列、実力、社風、将来性などを専門記者が客観的に解説している。在宅を余儀なくされている学生にとっては、就職サイト、企業のホームページとともに企業研究の新たな情報源となっているようだ。

▼将来性、就職人気ともに高い食品・住宅など生活関連メーカー
コロナ汚染拡大から1年、大きな打撃を受けた業界、企業は広く知られているが、コロナ禍によってこれまでの経済、産業の構造が変化、新たに台頭する産業や企業もあらわれてきた。そこで、学生たちがコロナ禍のなかでも将来性があると思っているのは次の5業界。

1.通信・情報、インターネット
2.メーカー(生活関連 食品・住宅など)
3.医療・福祉
4.メーカー(エレクトロニクス・機械・電子・自動車)
5.インフラ(鉄道・運輸、ガス、電力)

この結果は、ほぼ予想通り。新たに台頭した業界はなく、メーカー(生活関連・食品・住宅など)がさらに伸びたのが目についた。それでは、学生たちが第一志望の就職先としてめざす業界となると、どうか。上位5業界を挙げてみよう。

1.メーカー(生活関連・食品・住宅など)
2.マスコミ(新聞、出版、放送、広告)
3.インフラ(鉄道・運輸、ガス、電力)
4.通信・情報、インターネット
5.メーカー(エレクトロニクス・機械・電子・自動車)

将来性と連動しないのが面白い。昨年より志望者の多い業界は、将来性があると評価されたメーカー(生活関連 食品・住宅など)とインフラ(鉄道・運輸、ガス、電力)業界。将来性があっても就職人気度は、いまいちの業界もある(通信・情報、インターネット)。これに関連して次年度に就職人気が上がるのはどの業界かも回答してもらった。

人気上昇と学生たちがみているのは、「通信」「メーカー生活関連(生活関連・食品・住宅など)」「医療福祉」の3業界。逆に就職人気が下がると見られているのは、ホテル、旅行、銀行、レストラン・フード、娯楽の各業界。銀行以外は、コロナに直撃された業界だから仕方ないが、銀行の人気後退は、目を引く。コロナの影響でなく、ここ数年の低落傾向であるだけに業界にとっては深刻だろう。

▼企業選びの視点ではコロナの影響を重視
コロナで企業選びの視点は変わったかという設問に対しては、「変わった」という学生が7割いた。では、学生は、企業選びにあたってどのようなことを重視するようになったのか。多い順に挙げると、

1.業界的にコロナの影響を受けないか
2.経営が安定しているか
3.従業員を大事にしているか
4.コロナ回避に対応した採用活動をしたか
5.仕事・業務がオンライン化に対応できるか
6.在宅勤務が可能か

この結果は今後のホームページ作りや企業説明会でのアピールポイントとして参考になるだろう。どれも学生が聞きたいことであり、対策をしっかり行っている企業からは、大いに語りたいところだ。これこそ企業のホームページからの情報発信が最も有効だろう。

▼インターンシップへの参加意欲は旺盛
22卒学生たちの就活前哨戦である夏インターンシップは、すでに終わった。今年のインターンシップは、コロナ蔓延時期だったため9月中旬までにインターンシップに「参加した」学生は、昨年の78.9%から大きく減って64.1%だった。しかし、これは、学生の参加意欲が後退したのでなく、コロナ回避を考慮した企業がインターンシップ開催件数、募集人数を減らしたためだ。

そのため今年の場合、9月中旬時点でも「これから参加する」という学生が、32.3%もいた(昨年は19.1%)。今年の学生たちは、インターンシップへの参加意欲は昨年以上に旺盛なのである。これから冬、春のインターンシップの募集が始まるが、応募者は昨年以上になることが予想される。

ところで、今年の夏インターンシップは、コロナ禍のなかで開催されたため6割がオンラインで実施されたが、その満足度や感想はどうだったか。学生の回答は、「満足」が72.2%、「不満」が9.2%というから学生は、オンラインによるインターンシップを好意的に受け入れたことになる。ここで見落とせないのは、不満と回答した次のようなコメントだ。

「一番知りたい社風などは社員と会話をしないとわからない」
「職場の雰囲気や社員の仕事している姿が見たかった」
「会社の説明を聞き、見学する画像だけのインターンシップが多かった」
「オンラインだと討論やグループワークがやりにくい」

などと、オンラインでのインターンシップへの不満や改善の声だ。しかしこうした不満は、企業側も同じかもしれない。それだけにこれからの冬、春インターンシップでは、企業説明会と違った就業体験をいかにオンラインで体験してもらうか、リモートでの「職場体験」をどう実現するのか、革新的なプログラムや疑似体験技術の開発(例えばVR)が求められている。

これが本調査に見られた22卒予定学生たちの活動と就活へのスタンスである。就職環境やオンライン採用の受け止め方もコロナ汚染の状況次第でまだまだ大きく変わるだろう。年末から来年の3月にかけてコロナ汚染がどうなるか、引き続きこうした調査を注視する必要がある。(夏目孝吉)

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