2015.07.29メールマガジン

スーパーグローバル大学・インタビュー/立教大学 キャリアセンター事務部長 山下 恭弘氏

1874年(明治7年)に、東京築地で聖書と英学を教える小さな私塾「立教学校」が誕生した。これが立教大学の起源である。2014年に140周年を迎え、それを機に10年後(2024年)の150周年に向けた国際化戦略「Rikkyo Global 24」を明らかにした。

さらに『グローバルリベラルアーツ×リーダーシップ教育×自己変革』構想を掲げ、スーパーグローバル大学創成支援(タイプB/グローバル化牽引型)に採択された。

今回は、立教大学キャリアセンター事務部長の山下恭弘氏にお話を伺った。

◆「Rikkyo Global 24」とは
本学は140年以上に及ぶリベラルアーツ教育、また先進的なリーダーシップ教育に取り組んできました。今後さらなる大学改革を推進するため、150周年に向けた具体的な取り組みをまとめました。それが「Rikkyo Global 24(※1)」です。

4つの分野(1,海外への学生派遣の拡大、2,外国人留学生の受け入れの拡大、3,教育・研究環境の整備、4,国際化推進ガバナンスの強化)で、文字通り24の取り組みを進めています。その全てに数字目標を設定していることが、特徴の一つと言えるでしょう。

主なものを挙げてみると・・・
・全学生が海外へ/5年後50%、10年後100%の学生が海外を経験
・英語力の向上/5年後には、50%がTOEIC730点、100%が600点以上
・外国人留学生の増員/10年後2,000名以上の留学生が学ぶキャンパスの実現
・外国人教員比率の向上/現在の14%から10年後には20%まで引き上げ

教育だけでなく、大学組織全体を含めた国際化の取り組みが、すでにスタートしています。日々の小さな試みの積み重ねですが、ある閾値を超えることでキャンパスの雰囲気は大きく変わるのではないかと期待しています。

キャンパスという身近さで異国や異文化に触れることは重要です。今まで自分には関係のない出来事だと思っていた国際紛争や貧困といった課題をリアルに感じることができるでしょう。それが「学び」のモチベーションになっていきます。

◆「グローバルリベラルアーツ×リーダーシップ教育×自己変革」構想
「Rikkyo Global 24」を踏まえた教育構想として、「グローバルリベラルアーツ×リーダーシップ教育×自己変革」を掲げました。幸いにも、昨年のスーパーグローバル大学創成支援に採択されました。

国際社会で華々しく活躍する人材の育成だけが、グローバル教育ではないと考えています。もちろん、それを否定するわけではありませんが、学生一人一人が、現状から一歩踏み出して、視野を広げ、今とは異なる視点を獲得していく。多様で異質な他者と相互理解し、上手くやっていける教養を身につける。そうしたグローバル化する社会における“市民”育成を目指しています。

リーダーシップも、先頭に立って統率するばかりがスタイルではないでしょう。多様なメンバーが互いの特性を認め合い、その時々に応じて「君にリーダーを頼みたい」と請われたら、ためらうことなく中心に立てるような能力や気概をもった人材を育みたいと考えています。

社会の変化に合わせて、新たに求められる力を養っていく必要があります。グローバルリベラルアーツとリーダシップを、大学4年間という時間をかけて学生は自己変革していく。それが本構想の目指すところです。

◆立教大学学士課程統合カリキュラムがスタート
4年間の学びを、より具体的に体系化したものが、来年度からスタートする“立教大学学士課程統合カリキュラム(※2)”です。

「導入期~形成期~完成期」というキャリア発達に基づいた3期に分けてサポートしていきます。それぞれのタイミングで相応しいプログラムと場を提供することで、専門性に立つ教養人の育成を目指します。

その軸となるカリキュラムが「グローバル教養副専攻」です。自身の専門の応用につながる領域から関連した科目をルールに従って履修することができます。専門性の裾野を広げることで、バランスのとれた教養と専門性を身につけられるでしょう。総計26単位を修得し、大学が認定する海外体験を行なうことで、副専攻の修了書を発行します。

他には、1クラス8人程度の英語のディスカッション科目が1年次に必修化されます。より高いレベルの国際化を目指す学生には、GLAP(Global Liberal Arts Program)という英語による授業のみで学位を取得できるコースが用意されます。

また、立教らしさと大学での学修の基礎を身につけてもらう「立教ファーストタームプログラム」や、多彩な学びを促進する「コラボレーション科目」、学部学科を混在させた「立教ゼミナール」など、特色ある取り組みが行なわれます。

正課内外を通じた4年間という大学生活によって、「自ら考え、行動し、世界とともに生きる」人材を育成するための準備は、徐々に整いつつあります。

◆これからのキャリア支援
大学や学生の変化に合わせて、キャリア支援も変えていくことが肝要でしょう。キャリアセンターでは、学生の志向やライフスタイルに合わせたプログラムを提供していきたいと考えています。

特に、外国人留学生の就職支援には工夫が必要です。彼らは就職を考える時、海外で主流のジョブ型(就職)をイメージします。しかし、日本の新卒採用ではメンバーシップ型(就社)が一般的です。採用における慣行の違いに戸惑う学生が少なくありません。

また、彼らの日常はかなり忙しいと言えます。留学生として学業を修めているのですから、日本の学生以上に学修時間を要します。学生ビザで認められている時間ギリギリまでアルバイトをする学生も多くいます。

そんな彼らの支援ニーズを把握するために、「外国人留学生 就職相談会」を開催しています。お昼休みに、ランチ持ち込みOK、予約なしOK(通常は要予約)の相談会をすることで、忙しい彼らの利用をうながしています。そこでニーズを把握し、10年後の外国人留学生2,000人体制に向けて、期待に応えられる支援プログラムを築いていきたいと考えています。

◆最後に・・・
インターンシップやPBL(Project Based Learning)など、本学のキャリア教育では、数多くの企業や組織からご支援・ご協力をいただいております。皆さまのお話を伺っていると、こちらが考えている以上に、長期的視野に立ち、学生の成長や大学教育への理解をいただいていることが分かります。その懐の大きさには、感謝しかございません。

グローバル化していくキャンパスのなかで、どんな学生が、どんなキャリア観を持つようになるのか。どんな支援が適しているのか。これからの10年でやるべき事は山積しています。しかし、150周年に向けた取り組みは、すでに始まっています。私自身がメンバーとともに、「自ら考え、行動し、世界とともに生きる」新しい取り組みを、思考錯語しながら実施していきたい。そう考えています。

※1 Rikkyo Global 24
https://www.rikkyo.ac.jp/global24/program/

※2 立教大学学士課程統合カリキュラム
https://www.rikkyo.ac.jp/global24/curriculum/

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<大学データ>
立教大学
〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1
http://www.rikkyo.ac.jp/

○池袋キャリアセンター
池袋キャンパス6号館1階
TEL:03-3985-2433
FAX:03-3981-0300
Email:career@grp.rikkyo.ne.jp

○新座キャリアセンター
〒352-8558 埼玉県新座市北野1-2-26
新座キャンパス1号館1階
TEL:048-471-6714

<学部>
文学部、異文化コミュニケーション学部
経済学部、経営学部、理学部
社会学部、法学部、観光学部
コミュニティ福祉学部、現代心理学部

<大学院>
文学研究科、経済学研究科
経営学研究科、理学研究科
社会学研究科、法学研究科
観光学研究科、コミュニティ福祉学研究科
現代心理学研究科、キリスト教学研究科

[15.07.29]
就職情報研究所 平野恵子

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