2023.06.07メールマガジン

長期インターンシップにおけるワークルール

就職への不安を低学年のときから感じている学生が増えています。全国大学生活協同組合連合会が実施している『第58回学生生活実態調査』(※1)を見ると、「就職に不安を感じている」大学2年生が、2020年に一気に増加して、その後も増え続けていることが分かります。(19年76.5%、20年80.2%、21年80.4%、22年81.1%)

2020年の大幅な上昇は、タイミング的に新型コロナによる新卒市場の冷え込みが影響していると考えられますが、直近でも増加していることには、別の要因があるのでしょう。

その一つに「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)の存在が考えられます。大学生活が制限されたことで、就職活動の定番質問である「ガクチカ」が書けない・・・といった学生の声が、幾度となくメディアで取り上げられました(※2)。「ガクチカ」という就活用語の認知は一気に上がり、今では補足説明なしで通じる言葉になっています。

同時に「ガクチカがないと就職活動で困る」という認識が、広く知れ渡ったように思います。これが充実した大学生活につながればよいのですが、学業よりも課外活動に注力するなど、間違った方向に走ってしまう学生も少なからずいます。なかでも一部の長期インターンシップには不安を覚えます。

就業体験を伴う長期インターンシップには多くのメリットがあるので、学業との両立を前提にお勧めしたいのですが、ワークルールに則った内容かを、事前に確認することが必要です。なかには違法性が疑われるものもあります。特に賃金の発生条件については、学生だけの判断では難しいように思います。

使用者から業務に関わる指揮命令を受けて、利益につながる仕事をしていれば、インターンシップであっても労働者に該当します。当然、労働基準法をはじめ、最低賃金法も適用されます。

しかし、一部のインターンシップ情報を見るかぎり、成果に応じて支払われる歩合制や最低賃金を下回る条件など、違法性が疑われるものが存在します。

ある長期インターン専門サイトには「長期インターンでの給料は、あなたが“戦力かどうか”によって決まります(・・・)。あなたの成長に合わせて無給から有給へ進化していくものと考えましょう(・・・)。成長して実力が伴ってきたタイミングで有給インターンへと変化します」とあり、最初は無給が当然のように書かれてあります。

学生も「インターンシップだから無給でも仕方がない」「未経験でも実務スキルを磨けるなら、低い時給でもやってみたい」と考えることが多いようです。仕事にやりがいを感じて、自分の労働条件に疑問を感じていないケースもありました。本人が納得している以上、問題が表に出ることはありません。ある意味、グレーゾーンが広い労働形態と言うことができるでしょう。

就職活動のガクチカにもなるし、実務経験を積むこともできる。上手くすれば内定につながる可能性だってある。そんな話を聞けば、興味を抱くのは当然でしょう。多少時給が低くてもアルバイトよりコスパ・タイパは良い!と考える気持ちも理解できます。しかし、ワークルールを軽視してよい理由にはなりません。

学生向けのワークルールをまとめた冊子はありますが、アルバイトを想定した内容が中心です(※3)。学生ニーズを反映してか、新しいインターンシップ専門サイトの立ち上げが目に付きます。違法ケースの紹介や有給と無給を判断するチェックポイントなど、インターンシップに特化したガイドブックが必要なタイミングかもしれません。
〔就職情報研究所 所長 平野 恵子〕

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※1
第58回学生生活実態調査 概要報告
「2.大学生活・学生の意識 (3)就職について(図表18)」参照
https://www.univcoop.or.jp/press/life/report.html

※2
「ガクチカが書けない・・・」コロナ禍で就活生はどうすれば?
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/syukatsu/syukatsu830/

コロナ禍に直面の世代の就活 学生からは「ガクチカ」への悩み
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230215/k10013980801000.html

※3
これってあり?~まんが知って役立つ労働法Q&A~
https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001073010.pdf
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