2024.04.16メールマガジン

これからキャリア探索をはじめる26年卒生の育成環境

25年卒採用の真っ只中ですが、各大学では新3年生になった26年卒生向けの就職ガイダンスが始まっています。夏インターンシップを皮切りに、キャリア探索をスタートさせる新3年生(26年卒)と企業の接触機会は、これから増えていくでしょう。そんな彼らへの理解を深めるため、彼らの育成環境を見ていきたいと思います。

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●現役入学した新3年生(26年卒)の育成環境

<主な社会的出来事>
2003年( 0歳)誕生
2005年( 2歳)京都議定書の発効、経産省主導でクールビズが始まる
2008年( 5歳)iPhoneが日本で発売開始
2011年( 8歳、小学2年)東日本大震災
2013年(10歳、小学4年)「ブラック企業」が流行語大賞トップテンに
2015年(12歳、小学6年)SDGsが国連サミットで採決
            パートナーシップ制度が渋谷区と世田谷区で施行
2018年(15歳、中学3年)BTSが全米ビルボード1位
2019年(16歳、高校1年)働き方改革のスタート
2020年(17歳、高校2年)新型コロナの流行
2021年(18歳、高校3年)東京オリンピック・パラリンピック
2022年(19歳、大学1年)対面授業がほぼ復活
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2005年に京都議定書が発効され、職場ではクールビズが広がりました。このころから環境問題が私たちの生活のなかで、身近な話題となっていきます。小学6年生のときにはSDGsが採決され、社会課題への配慮が当然という時代背景のなかで、彼らは成長していきます。

日本でのiPhoneの発売開始は2008年です。その10年後の2018年には、中学3年生のスマホ・ケータイ利用率は8割強(※1)。その内、スマートフォン所持率は95%以上(※2)というデータをふまえれば、中学時代からスマホを持ち、友達との連絡はSNSを使うことが当たり前という環境で、思春期を過ごしてきたと言えるでしょう。

小学4年生のときに「ブラック企業」が流行語となり、いまではブラックバイトやブラックインターンといった言葉もよく耳にします。ワークルールに関する感度は高いと言えそうです。2019年に働き方改革関連法案が施行され、「残業上限規制」が猶予されていた建設業、運送業でも今年度からは適用されています。残業の少ない職場というのはPR要素ではなく、普通のことになりつつあります。

2015年に東京都渋谷区と世田谷区で「パートナーシップ制度(同性同士のカップルを婚姻に相当する関係と認め証明書を発行する制度)」が施行され、いまでは制度を利用できる地域の人口は国民の7割を超えました(※3)。

また、ジェンダーレスな雰囲気の男性グループBTSが2018年に全米ビルボード1位になるなど、性別の固定観念にとらわれないファッションやメイクが広がっています。こうした環境で育ってきた彼らに、例えば男性の「マッチョイズム」(「伝統的な男らしさ」の規範)を感じさせるような発言をすれば、違和感を与えてしまう可能性は高いでしょう。

高校生活をもっとも謳歌できる2年生のときから、新型コロナが流行しました。多くの高校は2~3か月間休校して対面授業を再開しましたが、昼食は黙食で、通学バスでのおしゃべりは禁止など、17~18歳の日常生活としたら厳しいものだったと言えるでしょう。大学入学は2022年で、キャンパス内の規制はずいぶん緩和されていました。対面授業7割以上の大学が全体の95.8%(※4)でしたので、大学生活における新型コロナの影響は小さかったと言えます。

◆大学の入試状況
新3年生(26年卒)が大学受験した2022年度入試情報情報(※5)によれば、既卒生(浪人)の受験者数は年々減少し、より現役生中心の入試だったようです。また、18歳人口は前年から約2万人減少しており、大学入試の競争緩和が目立っています。

選抜方法では、一般選抜(学力試験による受験)の割合は49.7%で、半数を下回りました。大学生の約8割を占める私立大学だけで見れば、一般選抜41.7%、総合型選抜(旧AO入試)15.9%、学校推薦型選抜42.4%と、非学力型で入学した学生が約6割となっています(※6)。学力選抜を経験している学生は少数派と言えそうです。

補足ですが、大学入学後の成績で見ると、総合型選抜(旧AO入試)の学生が好成績を維持しているという報告があります(※7)。入試方法の違いは受験経験による差を生じさせていますが、大学の学業とは切り離して考える必要があります。

進学率は前年から1.7ポイント上昇の56.6%でした(※8)。都道府県別で見ると非常に大きな差があります。東京(76.8%)と京都(70.9%)では7割を超えていますが、岩手(39.7%)、秋田(39.6%)、山口(40.3%)、大分(40.7%)、宮崎(40.5%)などは約4割と低迷しています。同じ大学生と呼ばれる若者であっても、地域によって立場やイメージに違いがあるようです。

社会的出来事やデータから新3年生(26年卒)の育成環境を見てきました。当然ですが、これらが全ての学生に当てはまるわけではありません。学生一人ひとりをより良く理解するための参考情報にしていただければ幸いです。
〔就職情報研究所 所長 平野 恵子〕

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※1
モバイル社会研究所(2018年9月調査)
https://www.moba-ken.jp/project/children/kodomo08.html

※2
デジタルアーツ株式会社
「第12回未成年者の携帯電話・スマートフォン利用実態調査」
https://www.daj.jp/company/release/common/data/2019/052401_reference.pdf

※3
広がるパートナーシップ制度 人口の7割超が利用可能に
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024031400690&g=soc

※4
文部科学省『大学等における令和4年度前期の授業の実施方針等に関する調査
及び学生の修学状況(中退・休学)等に関する調査の結果について』
https://www.mext.go.jp/content/20220614-mxt_kouhou01-000004520_01.pdf

※5
河合塾Kei-Net
「大学入試を追う 2022年度大学入試を振り返る」『Guideline6月』より
https://www.keinet.ne.jp/teacher/media/guideline/backnumber/22/06/tokushu.pdf

※6
私立大学の学校推薦型選抜、入学者の6割が指定校推薦-文科省調査
https://between.shinken-ad.co.jp/detail/2023/04/nyushicyosa.html

※7
東北大・早稲田大「総合選抜型」の合格者、入学後も好成績を維持
https://dot.asahi.com/articles/-/3504?page=1

※8
2022年度 大学進学率56.6%(過去最高)
https://www.universcape.co.jp/2022/12/23/usi-column/

(元データ、学校基本調査)
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1419591_00007.htm
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