2023.08.29メールマガジン

【特別インタビュー/『会社四季報 業界地図』の活用法】東洋経済新報社『会社四季報 業界地図』編集長 許斐(このみ)健太 氏

1895(明治28)年、新聞記者だった町田忠治氏(後の大蔵大臣)が旬刊『東洋経済新報』(現『週刊東洋経済』)を創刊。東洋経済新報社を設立した。以来125年以上、「健全なる経済社会を牽引する」という理念のもと、事業を展開している。2003(平成15)年に創刊された『会社四季報 業界地図』も、その一翼を担い、学生から社会人まで多くの人に読まれている。

今回は、株式会社東洋経済新報社『会社四季報 業界地図』編集長の許斐(このみ)健太 氏にお話しを伺った。

◆『会社四季報 業界地図』の特徴と活用法
『会社四季報 業界地図』(以下、業界地図)は、業界別の主要企業の業績や提携関係などが、視覚的に分かるように工夫されています。文字通り「地図」というわけです。VUCAと呼ばれる時代です。業界の動向も企業間の関係も、めまぐるしく変化していきます。毎年、最新版をお届けすることで、新しいビジネスの潮流も分かりやすく解説しています。2024年版は8月23日の発売です。

『業界地図』の本文やチェックポイントの解説などは、『会社四季報』の業界担当記者が書いています。“株式投資のバイブル”とも呼ばれる『会社四季報』です。客観性のあるデータをもとに、分かりやすく業界の“いま”と“これから”を説明しています。これが累計で230万部を超える本書の強みとなっています。

『業界地図』の利用目的としては、大きく3タイプに分かれます。
1つは「株式投資」です。新しい銘柄の発掘や分析に活用されています。
もう1つは「ビジネス」で、顧客情報の収集や新規開拓、研修などにも利用されます。
そして最後が「就職活動・転職活動」です。業界の特徴やトレンド、企業情報が端的にまとめられているので、業界・企業研究をはじめたばかりの学生も、見やすくて分かりやすいと思います。

初めて手に取る学生に、お勧めの読み方を紹介しましょう。
[1] まずは最初のページから最後まで、精読せずに斜め読みする
[2] 気になる業界があったらページの角を折っておく
[3] 一通り読み終えたら、角を折ったページを詳しく読んでいく
学生向けサイト(※1)には、他にも役立つ活用方法が紹介されているので、ご覧いただけると幸いです。

◆マルチステージの人生と『業界地図』
学生は就職活動を機に、自身の生き方や働き方と向き合うことになるはずです。そのときに“マルチステージ”という考え方を大切にしてほしいと思っています。これは『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン,アンドリュー・スコット著、東洋経済新報社、2016年発行)という書籍のなかで紹介されている人生のとらえ方です(※2)。

これまで私たちは、人生を3つのステージに分けて考えることが一般的でした。20歳前後までは教育を受けるステージ。その後は、65歳ぐらいまでバリバリと働くステージで、引退後は余生を楽しむ。多くの人が似たステージを経ているので、ロールモデルも多くいます。一様的なキャリアといえるでしょう。

しかし人生100年時代を生きる学生は、ビジネスパーソンとして組織で仕事をしながら、独立した立場で仕事に携わったり、新たな自身の生き方を探究したりと、複数のステージを転々としながらキャリアを築くことになります。親世代をロールモデルにしたキャリア形成は難しくなっています。就職後もさまざまなステージを行き来しながら、オリジナルなキャリアを歩んでいくわけです。

マルチステージの人生では、自身のキャリアを節目節目で振り返る必要があります。世の中を俯瞰して、ビジネス動向を理解した上で、これからの人生を考えるわけです。『業界地図』はそんなときに役立ちます。

ファーストキャリアを考える学生時の就職活動だけでなく、転職や副業、新しいスキルや資格の習得など、自分のキャリアを見つめ直すとき、本書を手に取ってもらえたら嬉しく思います。

◆就職活動と『業界地図』
本書は各業界に精通した記者が書いているので、近い将来までは見通すことができます。しかし、10~20年先の未来が分かるわけではありません。本書を参考書のようにとらえ、勉強することで優位性の高い業界、つまり正解を見つけようとする学生がいます。しかし、そもそも正解があるわけではありません。

本書を読む前に、まず考えてほしいことがあります。
それは「自分は何をしたいのか」ということ。これが全ての起点になると考えます。その上で「どんなフィールドでなら、やりたいことが実現しそうか」を模索していく。キャリア探索の時間には大きな意味がありますし、このときこそ『業界地図』が力になってくれるでしょう。文字通り「地図」のように世の中を見渡しながら、自分のファーストキャリアを見つけてほしいと願っています。

具体的な志望業界や企業が見えてきたら、エントリーシート・面接対策にも役に立つはずです。「御社でこういうことをやりたいので、入社したい」だけでは事業への理解度が分からず、本気度が伝わりにくいでしょう。

一方「御社は競合他社と比べ、こういう特徴があります。私がやりたいことと○○で一致するので、入社を希望します」としっかり調べた上で自身の考えを伝えることができれば、説得力がアップします。

さまざまな就活場面で役に立つ本書なので、就職が厳しい買い手(企業優位)市場のときの方がよく売れます。でも、企業を選べる売り手(学生優位)市場のときにこそ、手に取ってほしいと思っています。

新しいテクノロジーやサービスが常に生み出されています。いま古く感じる業界でも、先端的な動きを取り入れ、面白い取り組みをはじめている分野があります。そんな将来性ある企業を見つけるヒントもたくさん詰まっています。

◆書籍とデジタルサービスの併用
自分のやりたいことが見つからず、動けずにいる学生もいるでしょう。そんなときは、身の回りで起きている小さな変化に疑問を持つことから、世の中を理解していくのも一案です。例えば「なぜドラッグストアが増えているのか?」という疑問を持ち、仮説を立ててみる。この仮説に関連する分野を『業界地図』で調べてみれば、意外な発見や知らなかった情報を得ることができるはずです。

調べながら、なんとなく気になった企業があれば、インターンシップ等に参加して、直接社員の話を聞きましょう。仮説の真偽を確認するため、自分から質問すれば、事前に調べていた業界情報が役立ち、有意義な会話をすることができるはずです。こうやって少しずつ知識と情報が増えていけば、「何をしたいのか」が徐々に見えてくるでしょう。

今の時代、情報量が多すぎて、振り回されてしまいがちです。だからこそ、自分の目で世の中を見て、自分の頭で考えることを大切にしてほしいと考えます。その次のステップとして『業界地図』を手に取り、より深く世の中を理解してもらえたら嬉しいですね。

今後は、業界地図デジタル(※3)との連携で、さらに新しいことを試みたいと考えています。紙の書籍として、一覧性に優れているというメリットはあります。同時に、デジタルの検索性やスクリーニング機能にも魅力を感じます。両者を併用することで、できることはさらに広がるでしょう。新たな使い方を模索中といった感じです。

学生のキャリア支援に、より活用していただけるような書籍やデジタルサービスを提供してまいります。

※1
『会社四季報 業界地図』学生向けサイト
https://str.toyokeizai.net/-/gyoukai/shukatsu/

※2
『LEFE SHIFT(ライフ・シフト)』
https://str.toyokeizai.net/-/book/life-shift/about/

※3
業界地図デジタル
https://gyoukai.toyokeizai.net/

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<組織データ>
東洋経済新報社
〒103-8345 東京都中央区日本橋本石町1-2-1
https://corp.toyokeizai.net/

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