2023.06.20メールマガジン

【キャリアセンター長・インタビュー】青山学院大学 進路・就職センター進路・就職部 部長 平井 昇 氏

明治初頭にアメリカから派遣された3人の宣教師によって、3つの学校が創設された。1874年(明治7年)にドーラ・E・スクーンメーカーが「女子小学校」を、1878年(明治11年)にジュリアス・ソーパーが「耕教学舎」を、その翌年にはロバート・S・マクレイが「美會神学校」を創立。この3つの学校を源流として、移転先の地名だった「青山」を校名に冠することになる。1949年に青山学院大学が開校。現在は青山キャンパス、相模原キャンパスの2キャンパスにおいて、11学部27学科、大学院、専門職大学院を擁する総合大学となっている。

今回は、青山学院大学 進路・就職センター 進路・就職部長の平井 昇氏にお話を伺った。

◆活気あふれるキャリア・就職支援の現場
2021年に進路・就職センター(青山キャンパス)へ異動になり、昨年6月より現職を務めています。総務や人事など、学校組織を運営する事務方の仕事に長く携わっていたので、学生と直接関わる機会は多くありませんでした。どの組織でも同じだと思いますが、部署が変わり、仕事が違えば、職場の雰囲気も異なります。着任当時は、活気あふれるこの環境に驚くことが多かったですね。

まず、学生支援に対する職員の熱意に驚きました。どの部署でも誠実に仕事をするのは当然ですが、ここでは学生一人一人のキャリア形成や人生に関わります。その重みを実感するような熱心かつ丁寧な仕事ぶりと、イキイキと対応しているメンバーに、私自身が刺激を受けました。

企業の方々からも刺激をいただいています。いまの新卒採用は、スケジュールもプロセスも昔とは異なります。インターンシップ等のプログラム提供、説明会や採用選考の実施など、たくさんの社員の皆さまが関わっていることを実感します。学生は多くの人との関わりを通して、卒業後の未来を決定していきます。より良い機会を提供して、必要な支援をしっかりと行っていきたいですね。

◆キャリア支援のメインターゲット
本学の場合、1学年約5,000人の学生が在籍しています。専攻も幅広く、志望分野も多種多様です。アスリートというキャリア選択をする学生もいますし、起業家を目指す学生もいるでしょう。その全てに進路・就職センターが対応することは困難です。学内外の関連機関と協力・連携することを含めて、進路・就職センターが提供する支援は、どの学生層をメインターゲットにして、どんなプログラムが適しているのかを常に意識しています。

実社会と自ら関わりを持ち、卒業後のキャリアを決めていける学生は、私たちの支援をそれほど求めてはいないでしょう。特別な支援が必要な学生には、学内の専門機関が対応したほうが良いケースもあります。何かのきっかけがあれば動き出せる、少しつまずいて動けなくなっている・・・など、アシストがあれば自立的なキャリア形成・就職活動ができる層、ここを中核に据えながら、全体の支援デザインを心掛けています。

青山キャンパスには15人、相模原キャンパスは7人の専任職員がおり、相互に連携して企画の準備・運営に当たっています。今年度からは本格的に対面イベントの実施が可能になりました。オンラインのみで行っていたプログラムはそのメリット・デメリットを考慮して、運営方法を考えていく必要があるでしょう。ハイブリッド対応も選択肢に、オンラインの利便性を活かしつつ、対面の良さを実感できるものにしたいですね。メンバーと一緒に知恵を絞っていきたいと思います。

◆大学生活のなかにあるキャリア支援
入学して間もない1年生が“就職”の相談にくることがあります。4年間という大学生活を通して、少しずつ卒業後の自分の姿が見えてくるのであって、入学早々に“就職”の相談をする姿には、喜ばしい反面少し不安を感じます。
まずは、大学生活を充実させることに全力を注いでほしいと思います。その上で、学生が興味を持って実社会と触れ合ったり、自分のキャリアを考えたりする機会を提供できたら嬉しいですね。

昨年6月にインターンシップに関する三省合意の改正がありました(※1)。これをきっかけにして、従来の大学が窓口のインターンシップを発展的に解消。タイプ2の「キャリア教育」プログラムの実施を現在検討中です。就職活動をあまり意識せずに社会人と交流できる機会として、低学年から参加しやすい内容にしていきたいと考えています。

タイプ1~4のキャリア形成支援活動は、今夏から動き出すので、どのような支援が有用なのか、手探りの部分がまだ大きい状態です。実施する企業の方々も同様でしょう。学生のキャリア形成に役立つものなので、できるだけ参加を促したいと考えていますが、授業のある平日に実施するなど、学業への影響がより心配です。今回の改正に合わせて、学業への配慮をお願いできれば幸いです。

◆青学らしいキャリア支援の好循環
現在、青山キャンパスでは新図書館棟「マクレイ記念館」を建設しています(※2)。2024年4月オープンを予定しており、地下1階と地上1階は情報学習フロア、地上2階から6階が図書館フロアで、6階にはプレゼンテーションルーム
が設置される予定です。ラーニングコモンズやグループ学習室など、さまざまな機能を有する建物になるので、学生の主体的な学びをより一層高めてくれる場所になるでしょう。

もう1つ紹介したいのが、卒業生組織の「青山学院校友会」(※3)です。幼稚園から大学院までを含めた卒業生組織は全国的にも珍しく、会員は約38万人を数えます。模擬面接を定期的に実施するなど、就職支援にも熱心に
協力いただいています。

在校生にとって、先輩社会人の応援はとても心強いものです。去年の学内合同企業説明会では企業の人事担当者だけでなく、本学の卒業生にも参加してもらったのですが、学生からとても好評で、OB・OGの実体験に基づく内容が、学生にとってとても参考になったと実感しました。校友会との連携をさらに強めて、対面イベントなどを企画していきたいですね。

在校生や卒業生を見ていると、校風というか、青学らしさというものを感じます。スクール・モットーである「地の塩、世の光」を体現するサーバント・リーダー(※4)の精神が影響しているのかもしれません。“servant(サーバント)”は仕える者という意味です。自分を持ちながら、周囲の人たちを立てて、物事を前に進めていける。そんなイメージでしょうか。教育を通して青学らしさを身に付け、多くの人や社会に貢献していく。そして、先輩社会人として後輩の支援に関わっていく。そんなキャリア支援の好循環を作っていければ嬉しいですね。
〔就職情報研究所 所長 平野 恵子〕

※1
インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る
取組の推進に当たっての基本的考え方
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/sangaku2/20220610-mxt_ope01_01.pdf
※2
新図書館棟建築計画(2024年4月オープン予定)
https://newlib.a01.aoyama.ac.jp/
※3
青山学院校友会
http://www.alumni-aogaku.jp/
※4
サーバント・リーダーと青山学院
https://www.aoyamagakuin.jp/rcenter/2014winter_story.html
───────────────────────────────────
<大学データ>
青山学院大学
http://www.aoyama.ac.jp/

○青山キャンパス/進路・就職センター
〒150-8366 東京都渋谷区渋谷4-4-25 17号館2階
TEL:03-3409-6358
FAX:03-3409-2813

○相模原キャンパス/進路・就職課
〒252-5258 神奈川県相模原市中央区淵野辺5-10-1
B棟1階スチューデントセンター
TEL:042-759-6036
FAX:042-759-6031

<学部>
○青山キャンパス
文学部、教育人間科学部、経済学部、法学部、経営学部、
国際政治経済学部、総合文化政策学部

○相模原キャンパス
理工学部、社会情報学部、地球社会共生学部、コミュニティ人間科学部

<大学院>
○青山キャンパス
文学研究科、教育人間科学研究科、経済学研究科、法学研究科、経営学研究科、
国際政治経済学研究科、総合文化政策学研究科、社会情報学研究科

○相模原キャンパス
理工学研究科、社会情報学研究科

<専門職大学院>
国際マネジメント研究科、会計プロフェッション研究科

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