2025.06.24メールマガジン

AIが変える新卒採用の現場

【AIが変える新卒採用の現場】
選考の効率化だけでなく“公平性”や“納得感”にも注目

企業の採用現場では、AI面接やチャットボットをはじめとするAI技術の導入が広がっています。業務の効率化だけでなく、応募者との対話機会拡大や選考の客観性向上にもつながると注目を集めており、学生側の認知も進みつつあります。今回は、実際に導入している企業の取り組みや、学生側の声、大学・企業双方に求められる視点についてご紹介します。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■TOPICS
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1.AI導入が広がる背景と現状
2.実際の企業活用事例(AI面接・チャットボットなど)
3.AI活用におけるメリットと注意点
4.学生の声から見える“賛否”と“使い方”
5.大学・企業が知っておくべき視点と支援の方向性

1.AI導入が広がる背景と現状
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選考業務の効率化、評価の公平性向上、多様な人材の見極めといった目的で、AI技術の導入が広がっています。録画面接やチャットボットによる質疑対応、ESの自動評価など、導入手法は多様化。特に「地方・海外の応募者にも機会を提供したい」「選考のばらつきを減らしたい」といったニーズが強い企業では活用が進んでいます。

2.実際の企業活用事例(AI面接・チャットボットなど)
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●セイコーエプソン:
録画面接ツール「harutaka」を導入し、海外拠点とのスムーズな日程調整と多様な評価軸の導入を実現。
●キリンホールディングス:
AI面接官による初期選考を導入。話し方や内容を解析し、スコアリング。初期選考時間を97%削減
●横浜銀行:
AI「KIBIT」でESを分析し、志望度や熱意をスコア化。評価時間70%削減、公平性の高い選考が可能に。
●ホリプロ:
AI面接「SHaiN」を導入し、面接官による評価のばらつき・主観を補完。構造化面接による公平な評価と、候補者の資質の見える化を実現。
●パナソニックオペレーショナルエクセレンス:
AIによる動画選考で年間3000名を効率処理。録画内容を客観的に評価できる仕組みを整備。
●NTTドコモ:
ESと対面のギャップを埋める施策としてAI面接を導入。現場社員の負担軽減と選考精度向上を両立。
●ANAエアポートサービス:
空港拠点ごとの選考にAIを活用。話し方・雰囲気など“人柄”の見える化が進む。
●ソフトクリエイト:
生成AIチャットボットで学生からの質問対応。回答精度と即時性が学生の理解を促進。

3.AI活用におけるメリットと注意点
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【メリット】
・評価基準の標準化と選考の公平性向上
・地方や海外の学生への接触機会の拡大
・面接官の主観を排した客観的判断
・業務の省力化と応募者対応スピードの向上

【注意点】
・バイアスを含んだ学習データによる誤判定のリスク
・“人柄”や“将来性”といった非定量情報の見落とし
・候補者に対するAI評価への不信感・心理的抵抗
・初期導入コストや社内理解の浸透など、体制構築のハードル

4.学生の声から見える“賛否”と“使い方”
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弊社調査では、「生成AIの活用」について、およそ半数の学生が「どちらとも言えない」と回答。一方、「文章表現の補助」「アイデア出し」などの目的で肯定的に捉える声も多くありました。

【賛成派の声】
・使える技術は積極的に使うべき(東京工業大学大学院/理系/男性)
・文章をわかりやすく添削してくれるのであれば、どんどんと取り入れていくべき(愛知大学/文系/女性)
・文章の添削はAIも含めてより多くの人に見てもらう方が良い(専修大学/文系/男性)
・AIの使い方も含めて実力だと思う(東京大学大学院/理系/男性)
・良い技術は活用し、学ぶべき(三重大学/文系/男性)
・やることが多すぎる中、活用できるのは助かる(東京大学大学院/理系/男性)

【反対派の声】
・ESの個性が消えていってしまう(法政大学/文系/男性)
・AIの文章で自分の人柄は伝わらない(早稲田大学/文系/女性)
・面接でESの内容を聞かれたときに話ができないと思う (早稲田大学/理系/女性)
・面接官の質問に再現性高く答えるには自分の言葉で書くべき (京都工芸繊維大学大学院/理系/男性)
・AIの就活ではない、自分の就活をしたい(明治大学大学院/理系/男性)
・自分の言葉で発信しないと一貫性が持てない (名古屋外国語大学/文系/女性)
・心がない。人間の言葉じゃない(大阪市立大学/文系/男性)

AI活用は万能ではありませんが、学生との“納得感ある関係構築”において、適切な使い方と情報提供の在り方が問われているといえます。

5.大学・企業が知っておくべき視点と支援の方向性
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大学側には、生成AIの特徴や使い方を伝える情報リテラシー教育や、学生の個性を引き出すキャリア支援が求められます。企業側には、AIを活用する場合の評価観点や選考フローの見える化、そして“AIでは測れない魅力”を直接伝えられる場の設計が必要です。「選考にAIを使っているか?」ではなく、「どう使い、どのように納得のいく説明を行うか?」が、今後の採用力を左右する重要な視点となるでしょう。

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いかがでしたでしょうか。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。

〔ブンナビ編集長 間宮 康之〕

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