2025.09.16メールマガジン

【キャリアセンター長・インタビュー】立命館大学 キャリアセンター 次長 辻井 英吾 氏

学祖である西園寺公望氏は、新しい時代を担う若者を育てるため、1869(明治2)年に私塾「立命館」を創始した。その後、1900(明治33)年に中川小十郎氏が意思を引き継ぎ、前身となる「私立京都法政学校」を創立。1913年(大正2)年に「私立立命館大学」と改称した。

現在は4キャンパスに16学部・22研究科を擁する総合大学となり、約3万9,000人の学生が大学生活を謳歌している。今回は、立命館大学キャリアセンター次長の辻井 英吾氏にお話を伺った。

▼学園ビジョンR2030に基づいた取り組み
本学は「自由と清新」を建学の精神とし、自由にして進取の気風に富んだ学園を目指しています。教学理念は「平和と民主主義」。高度な学問を修めるだけでなく、実社会で活躍できる正義と倫理をもった人間の育成に努めています。

今年で創立125周年を迎え、来年4月には京都の衣笠キャンパスに「デザイン・アート学部」「デザイン・アート学研究科(大学院)」が新たに開設します。17学部23研究科となり、より多くの個性豊かな学生たちの成長を支えていく体制が求められています。

現在は、学園ビジョンR2030「挑戦をもっと自由に」が進行中です。『立命館大学チャレンジ・デザイン』(※1)として、「新たな価値を創造する次世代研究大学」「イノベーション・創発性人材を生み出す大学」という二つの柱を掲げ、中期計画(2021年~2030年)を進めているところです。

キャリアセンターでは「学生一人ひとりが希望する進路の実現」をミッションとして、キャリア支援における中期計画の前半(2021年~2025年)においては、以下の4点を基本目標として取り組みを実施しています。今年度は前半の締めくくりとなるので、しっかりとやり切っていきたいですね。
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【1】入学直後からのキャリア形成支援
【2】難関分野に挑戦する学生の進路実現
【3】卒業終了後の自立した職業生活の実現
【4】学生が納得できる進路の実現
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▼キャリア支援体制として目指す姿
本学が日本で最初に「キャリアセンター」を発足させたのが1999(平成11)年です。一貫して、卒業時の就職支援だけでなく、生涯にわたり自分らしいキャリアを築き、社会で活躍する人材育成を目指しています。そのベースになるのが充実した大学生活です。大学のすべての学びや経験が、学生のキャリアを形成する要素になります。

本学のキャリア支援の特徴は、キャリアセンターのみで支援を完結せず、学内の関連する部門との連携の中で推進していることにあります。その一つが学部・研究科との連携です。各学部・研究科の中にキャリア支援を担当する教員を配置しています。また、学部・研究科とキャリアセンターとの懇談会や全学でキャリア支援について意見交換を行う場として、全学進路就職委員会を開催しています。

関連部門との連携の二つ目になりますが、2023年度からキャリアセンター、国際部、学生部の三部が連携した学生支援プロジェクトを立ち上げました。プロジェクトではセルフオーサーシップ(自分の経験や価値観に基づいて、自らの生き方や学び方の意味を問い、築き上げていく力)を1つのキーワードとして、学生自身が考え、選択、行動する機会の重要性などを検討しています。

チャレンジ・デザインのなかで掲げている「イノベーション・創発性人材」の育成にどうコミットしていくかは、キャリアセンター中期計画の後半に向けて思案している最中です。「ライフデザイン・ライフキャリア」を考えることが「イノベーション・創発性人材」につながることをイメージして、必要な環境やサポートを検討し、学生の成長を後押しすることをキャリアセンターとしても強化していきたいと考えています。

▼学生のキャリア形成を支えるハブ機能
大学生活を通して学生のキャリア形成を支援していくには、キャリアセンターがハブとなり、さまざまな部門やプロジェクト、それに関わる教職員とつながり、低回生(1、2年生)から自らのライフキャリアを考える機会を提供していくことが重要でしょう。そのためには、企業・自治体など学内外との連携は欠かせず、学生の成長を一緒に考えていくパートナーとして関わっていただくことが大切だと考えています。

学内には低回生から社会人とつながれる多くのプロジェクト等があります。こうした取り組みをキャリアセンターが把握し、ハブ機能として学生に情報提供していくことで、主体的に動き出し、挑戦しやすくなる環境を整えていきたいですね。

学生同士、学生と卒業生が支えあい、成長していくスチューデンツネットワーク(※2)の仕組みは本学のキャリア支援において重要な役割を果たしています。就職内定者は「ジュニアアドバイザー(JA)」として後輩へのアドバイスやサポートを実施し、「キャリアアドバイザー(CA)」は社会人目線で学生へのアドバイスや懇談会を実施しています。ともに20年以上の歴史があり、先輩の「後輩を応援したい」という思いを形にした本学らしい取り組みと言えるでしょう。

▼挑戦する大学生活を支援
大学生活が、その後の自分を形成していきます。だからこそもっと“挑戦”する大学生活を送ってほしいですね。社会的に影響を与えるような大きな挑戦でなくても良いのです。自身のパーソナルベストを目指すような取り組みが、学園ビジョンR2030「挑戦をもっと自由に」の実践につながるはずです。

いまの就職活動は早期化が目立っています。それが大学生活を矮小化させているようにも感じます。3年生になるとすぐにインターンシップで、そのまま就職活動です。留学や課外活動を断念するなど学生生活に制約がかかっているように思います。

また選考において学部生であれば、大学2年間の成長しか見てもらえない実態があります。大学院に進学しても実際の研究に取り組む前に就職活動をはじめなければならず、研究活動を通じた大学院での成長を見極めてもらえない実態は残念でなりません。

このような実態の中で早い段階において「ライフデザイン・ライフキャリア」を考えることが重要と考えます。

就職活動支援を含めて、学生がより良いキャリアを形成していくための学生支援を、キャリアセンターとして実践していきたいですね。中期計画の後半に向けて、いまは議論を進めているところです。学内外との連携を強化しながら、学生の自己実現に向けて尽力したいと考えています。
〔就職情報研究所 所長 平野 恵子〕

※1
学園ビジョン R2030 立命館大学チャレンジ・デザイン
https://www.ritsumei.ac.jp/features/r2030/challenge-design/

※2
スチューデンツ・ネットワーク
https://www.ritsumei.ac.jp/career/assets/files/introduction/introduction2.pdf

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<大学データ>
立命館大学
https://www.ritsumei.ac.jp/

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[学部]
〇衣笠キャンパス
法学部、産業社会学部、国際関係学部、文学部

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〇大阪いばらきキャンパス
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グローバル教養学部、映像学部、情報理工学部

[大学院]
〇衣笠キャンパス
法学研究科、社会学研究科、国際関係研究科、文学研究科、
デザイン・アート学研究科、言語教育情報研究科、先端総合学術研究科

〇びわこ・くさつキャンパス
経済学研究科、スポーツ健康科学研究科、食マネジメント研究科、
理工学研究科、生命科学研究科、薬学研究科

〇大阪いばらきキャンパス
経営学研究科、政策科学研究科、人間科学研究科、映像研究科、
情報理工学研究科、テクノロジー・マネジメント研究科、
経営管理研究科(ビジネススクール)

〇朱雀キャンパス
法科大学院(法務研究科)

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