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2020.09.29 経団連の「新卒採用活動に関するアンケート結果」を読む

9月15日、経団連は、今年の新卒採用(2021年度入社対象)についての「新卒採用活動に関するアンケート結果」を発表した。これは経団連会員企業を対象にしたもので大手企業の採用活動や考え方を知る絶好の調査である。

今回の調査はこれまでの新卒採用調査とは違い、コロナショックで大混乱した今年の採用活動やWeb採用の経験を詳細かつ率直に分析している。それだけに企業の採用担当者や大学の就職担当者にとっても興味深い指摘やデータが随所にある。

詳しくは直接、同アンケートを参照してほしいが、本稿では新卒採用のキーワードと関連する数字で、同アンケートのポイントを解説してみよう。

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◎1.コロナ禍でも新卒採用の実施企業は95.9% 
アンケートに回答した会員企業442社のうち20年度の業績見通しが悪化した企業は38.6%もあったが、95.9%の企業が新卒の採用活動を実施した。コロナショックがあっても多くの企業が新卒採用の重要性を認識し、採用活動を継続、採用中止をした企業はごく一部だった。

◎2.Webによる企業説明会は88.4% 
コロナ汚染の急拡大に対して対面型の企業説明会などを中止した企業は90.1%に達したが、その後の対応が早かった。88.4%の企業がコロナ回避を最優先したWebによる説明会を急遽開催することで、採用活動を継続した。こうして3月以降、企業のWebによる採用活動は一気に広がったのである。

◎3.学生の企業理解や動機形成にWebは、評価できないが47.1%
Web活用による採用広報活動が、どれほど効果があり評価できるかを聞いている。遠方学生へのアプローチでは81.0%の企業がプラス効果ありと評価しているが、学生の企業理解や動機形成のプラス評価は、わずか7.4%で、評価できないが47.1%もあった。Webでは学生の企業理解や動機形成にはあまり効果がない、というのが実態のようだ。Webを採用広報に活用する企業にとって大きな課題である。

◎4.最終面接までWeb活用した企業が、63.8%
意外な数字である。Web面接は9割の企業が実施しているが、最終面接までWebだった企業が63.8%もあった。学生たちの希望は最終面接は対面でという声が多かったが、企業はそうでもなかった。「最終面接をリアルな対面型で実施した」企業は、17.3%に過ぎなかったからだ。企業は採用選考について最後までコロナ汚染回避を徹底したのだろう。

◎5.Web面接は対面面接より評価が難しいが62.7%
Webでの面接では人物評価が難しいという正直な回答は、コロナ禍のなかでの採用選考がいかに難しいかを物語っている。面接システムがいくら発達してもWebだけの選考ではまだ限界があるのだろう。それでも「対面と変わらない」と自信をもって回答した企業が27.4%あった。今後コロナが少しでも収束すれば、多くの企業は対面型あるいは、Webとの併用型の面接に戻るだろうが、約3割の企業は今後もWeb面接を続けることになりそうだ。

◎6.Web面接は通信環境が問題という回答が75.8%
Web面接では「細やかな表情等が把握しにくい」という問題点が最多で83.7%だったが、見落とせないのが2番目に多かった「通信環境を担保する必要がある」という回答。企業側は通信インフラの構築、管理運用だけでなくセキュリティ、個人情報保護などにも配慮しなくてはならないからだ。問題点の3番目は、「熱意等が伝わりにくい」が55.5%。現在のWeb面接の技術では、熱意を感じ取ることは、まだ無理なのだろう。

◎7.7月初旬でも採用活動継続中だった企業は67.2%
採用活動は年々早くなっていて当初今年の採用活動は6月中旬で終了するのではないかと予測されていたが、コロナ汚染の長期化で選考活動が停滞、例年より一か月遅れとなった。7月初旬で採用活動を終了した企業は32.8%だったが、残り67.2%の企業は継続中だった。これに伴い採用活動終了時期が一か月以上遅れたという企業が20.0%もあった。

◎8.採用計画を充足できなかった企業は30.2%
今年はコロナ汚染拡大で採用活動の出遅れや採用計画の見直し、選考方法の混乱などによって企業はスムーズな採用活動を展開できなかった。だが結果的には「おおむね計画通り」に採用内定を出した企業が62.6%に達し、採用計画を充足しなかった企業は30.2%だった。2年前の同調査では、採用計画に届かなかった企業は33.0%だったから、今年はやや緩和されたものの相変わらず求人難が続いていることを示した。

◎9.Webの活用方針未定が42.7%
これは興味深い数字だ。来年以降の選考活動におけるWebの活用方針を聞いたものだが、「未定」と回答した企業が42.7%もあった。今年の採用活動では、コロナ汚染に見舞われ、企業の採用活動はほとんどがWebで行われ、そのメリットを企業は十分に理解したはずだが、4割も未定とは意外な回答といえよう。もう少し回答状況を見てみよう。「さらに活用」が16.7%、「今年と同程度」が34.9%、「減らす」が5.7%だった。このように「未定」が多いところを見ると、企業は選考活動においてWebの活用にはまだ慎重のようだ。

◎10.来年度の採用予定数未定が52.1%
コロナショックによる企業経営の見通しや経営環境の変化が読めないだけに来年度の新卒の採用計画は、立てにくい。「未定」と回答した企業が過半数の52.1%、以下「同程度」42.7%、「減らす見込み」3.5%、「増やす見込み」1.7%となっている。全体としては、やや採用数減の気配だが、どうだろうか。景気見通しや企業業績が深刻化したり回復したりすれば、まだまだ変動しそうな数字だ。

◎11.通年採用実施率は16.5%
一昨年来、経団連の中西宏明会長は「新卒一括採用の見直し」を言及する中で「通年採用」や「ジョブ型採用」などへの転換を強調していたが、実際には、あまり普及していないようだ。今回のコロナショックで、Webによる採用活動が普及したことで年間を通じた採用が容易になって通年採用が一気に進むかと見られていたが、今年の採用では大きな変化はなかった。実施している企業は16.5%、今後通年採用を増やす予定の企業は17.7%だった。

◎12.ジョブ型採用の実施率は22.7% 
これも経団連が推進している新しい採用。実施している企業は22.7%と予想以上に多いが、内訳を見ると「一部職務に限定」が60.0%で「広範な職務に適応」は25.6%にとどまっている。今後の方向は「増やしていく」が、9.9%というからトレンドとしては増加だが、当面は財務・法務・開発系・IT・データサイエンスなどの専門職を対象に「職務限定型」として徐々に導入されていくのだろう。
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このように本調査は、波乱の21採用において多くの企業が直面したWeb採用の実態を明らかにし、ウィズコロナ時代の新卒採用の課題をいち早く公表したことは高く評価されるだろう。(夏目孝吉)

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